DINKSの40代の御夫婦
たよりになるのは互いだけなのに
奥さんが乳癌になった

しかも数年前、良性といわれたのをうのみにして
たとえ痛くても、苦しくても
病院にはいかなかった

民間療法で
いろんなものを試して
高波動のイオン水だとか
はちみついりのクリームだとか
なんでかフラワーレメディも
(これはボトルをちらりと見ただけで、ホントに飲んでたかはさだかじゃない)
さるのこしかけ(350?数十万)だとか

なのに

痛くて歩けなくなってから
うちにきた

「良性なんだから、治るんでしょう?」

日増しに動かなくなっていく身体
全身転位で骨もぼろぼろで
旦那さんが身体を拭いただけで骨が折れた

そのうち、思うようにいかないもどかしさで
どんどん注文は細かくなる

数cm動かして
こっちの肩は触らないで
クビがすわってないから5人くらいでやって
あなただけじゃ無理
今すぐ旦那を呼んで(夜中4時)
いかないで 傍にいて
看護婦さん!看護婦さん!!!

最後はどうしても心細くなる
傍にいてあげたいのはやまやまなのだけど
そうもいかなくて

にっちもさっちもいかない気持ちで勤務を後にする

ありがとね
お願いね
こうしてね
やりすぎ!
こうして
ああして
ありがとね
もういいわ

終わってからも耳から離れない
指先を洗っても洗っても
彼女の独特の臭いがする

抗癌剤で黄色く湿った体液
耐えきれなくて点滴のアナから漏れ出す体液

旦那は毎日来る
仕事はどうしたのだろうと思うくらい来る
よる消灯をすぎてもいる


あなたはどうしてほしかったのだろう

旦那さんと、本人の死生観

残されていくものにのしかかる
「後悔したくない」という自己満足

そのなかで
できること、すべきことはなんなのか

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滴

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